冥帝ビカラ
「『大戦』初期、常に敵に倍する戦力を集めえたデーヴァ神軍も、末期には敵よりも数的に勝ることはまれであった」
という記述が4巻序章に出ています。
そういう、まだアスラが規模的にも大したものではなくて、
軍隊としてもきちんと機能していない段階に、
デーヴァから誰か軍を統率する能力のある人が寝返ったのではないかなぁ、
とぼんやり考えておりました。
「大戦」の勃発から終了までの2000年という期間は、
天空人の感覚からすればそれほど長くはないかも知れないけれど、
有能な軍師がデーヴァとアスラのどちらにもいなければ、
そこまで長引くことはなかったのでは、と思うのです。
そこを突き詰めて考えると、ビカラはまさに「統率者」として適任なので、
十二羅帝の中では、インドラ様を除いて最初にアスラ側についたのではないかと。
インドラ様は、シヴァ様には絶対服従を強いられていたけれど、
アスラ神軍という集団のことは嫌悪していたり、
指揮を執ることは拒んでいたりするのではないかと思うので。
(そしてまた、シヴァ様にとっては
インドラ様のそういう苦悩こそが悦びだったり、とか……)
ビカラはもしかしたら、
デーヴァの優勢が続いていて「大戦」の終結も見えてきた時に
「このまま勝負がついてしまってはおもしろくない」
とか何とか言って突然寝返ったのかも知れない。
あるいは、自分が打ち立てた完璧なはずの作戦にひとつだけ穴があることに気付いて、
そこを突くためにわざわざ寝返った、とか。
そして、形勢が圧倒的に不利なアスラ神軍の指揮をとって、
そこから一気に逆転してみせたりして。
自分の才能を試してみたくて、ただそれだけで反逆しちゃったようなイメージ。
才能があって向上心も桁外れな、孤独な完璧主義者。
同じ十二羅帝に、誰か話の合う仲間がいれば、
彼の悩みを理解したり引き止めたりできたかも知れないけれど……。
そんな経緯があるので、古参の神将にはものすっっっごく嫌われている、とかね。
ヴリトラさんあたりが「あの時ビカラが反逆さえしなければ……!」って
思い出す度に歯ぎしりギリギリ、とか。
頭が良すぎて、行動原理が周りに理解されていなかったりするとかね。
アスラの神将たちは、もとの仲間たちからすれば「堕ちた」とされていると思うけれど
特にビカラは、デーヴァにいた頃よりもずっと自由に生きているのではないかなぁ。
窮地に陥るほど燃えてしまうような、ある意味では真の軍師様。
雷帝インドラ
「大戦」勃発に関わった(というか巻き込まれた)重要人物ではあるものの、「大戦」そのものには、彼は武将としては参加していないんでしょうかね?
「雷帝インドラの名はかつてヴィシュヌも聞いたことがある」
という一文が6巻序章にありますが、
例えば獣牙三人衆のように、アスラの戦士として名を馳せていたのとは
どうも違う感じだなぁ、と思っています。
アスラ神軍の一員としてではなく、シヴァ様一個人にのみお仕えして、
その命令によって動いていただけで、
表立って戦線に登場したりはしなかったのではないかなぁ、と。
だから、デーヴァの十二羅帝からは
「大戦勃発以後は行方不明」という扱いをされていたのでは、とか。
そういう、ちょっと特別な立場にいることと、
自分より先にシヴァ様に仕えていた先輩であるということから、
ビカラもシヴァ様以外に唯一敬称をつけて呼んでいたりするのかなぁ。
あの人は、自分が指揮する相手なら、平気で呼び捨てにしそうな感じなので。
ビカラとインドラ様とミトラ様、
このお三方はお互いに対照的なキャラクターだと思います。
特に、同じく「知謀の軍師」であるミトラ様とビカラは、
いちいちその差が際立つといいよね。
ああー、早くこの2人の軍師対決が見たいよー!
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