人物考察:雷帝インドラ

 2003/03/17 

シュラト 人物考察

もっとも清廉な武人

  • よみがな:らいていーー
  • 声:鈴置洋孝
  • 所属:十二羅帝
  • 神甲冑:双頭の鷲
  • 武器:大剣
  • 触媒:雷
  • 必殺技:雷帝爆裂弾、雷帝時空烈etc.
小説版を読んで惚れました。このお方の一生は辛過ぎる。
「シュラト」全キャラの中でいちばん不幸なんじゃないだろうか。
TV放映時の私は、「シュラト」という作品の放つオーラ自体に
すっかり夢中になっていたので、
今にして思うと、各キャラクターについてはあまり深く考えていませんでした。
インドラ様のことも、「反乱を起こした人」「シュラトたちの敵」という
表面的なとらえ方しかしていなかったし、
「善」から「悪」ヘと変貌した理由にも、
「異動宮の接近に伴い、己の宿命に目覚めた」という一応の説明に
何だか釈然としないものを感じつつ、そのまま受け入れ、流してしまいました。
でも、やっぱり、これだと「お優しいインドラ様」は
「デーヴァ神族を欺くための偽りの姿」ということになってしまうんですよね。
あれが演技だったなんて、信じられないし、信じたくないし……。
あるいは、「異動宮の接近に伴い」それこそスイッチが切り替わったように
「悪」へと変貌した、と考えてみても、
不自然さというか、「人ってそんなものなのか?」という疑問が残ります。
なので、小説第6巻でインドラ様の生い立ちが明らかになった時、
それまではバラバラに見えていた彼の「善」と「悪」が全てひとつにつながって、
その苦しみと葛藤が私にもいっぺんに迫ってくるような感じがして、
泣きそうになってしまいました。
第6巻って1冊丸ごとクライマックスだから、
涙腺が刺激されっぱなしで弱ってるんですよね……。

インドラ様って、「公私」の「公」のみで生きてきた人だよね。
15歳ですでに最高位の神将部隊・十二羅帝の一員であったということは、
その時点から天空界のために尽くしていたんだろうし、
自分と同じルドラ神族の狂気の王・シヴァにもよく仕えて……。
シヴァ様を守るために一度は命を落としたけれど、
シヴァ様によって偽りの生を与えられてからは、
その操り人形としての宿命を受け入れてしまうし……。
「大戦」後、ヴィシュヌ様にデーヴァ神軍の再建を任されてからの彼の生き様は、
全ての神将の目標となり、「もっとも清廉な武人」と讃えられたことからも明らかです。
彼が「デーヴァ神軍総司令官」として過ごした日々は、
他者にとっては2千年も続いた「大戦」がようやく終結し、
期限付きとはいえ平和が戻ってきた希望の時代だけれど、
彼は死に物狂いだったんじゃないかなぁ、と思います。
だって、シヴァ様と黒のソーマの恐ろしさは、自分自身がいちばんよく知っている。
デーヴァ神軍をそれに耐え得るほどの強さに鍛え上げるには、
異動宮が再び接近するまでのわずか1万年という時間はあまりにも短い。
それでも、可能な限りデーヴァ神軍の戦力を高めておこうと、
神将の育成には命をかけていたのではないでしょうか。
いつかは、シヴァから、黒のソーマから、そして悪鬼と化すであろう自分自身からも
天空界を守れる者が現れると信じて。
とにかく、アニメ版の彼しか知らない方には、
小説版を読んでみることを強くお薦めします。
最初は、ここでもう少し詳しくその過去についてまとめるつもりでしたが、
やっぱりちゃんと小説として読んで、彼についてじっくり考えてみてほしいです。

そうそう、インドラ様に関しては、
八部衆の6人を相手にしながら1匹の蝶をかばうために自らを盾にした、
あの有名なエピソードがお気に入りです。
インドラ様も、蝶に気付いたヒュウガとレンゲも、
気付かずはしゃいでいたダンたちも、全てが愛おしいです。
そして、インドラ様が、テラスでレンゲたちに
「神将ならば、愛する者のために生きろ」と語るシーンもとても好き。
ここって、インドラ様の台詞がアニメ版と小説版で違うんですよね。
でも、アニメ版の「それよりもダンのあの喜びよう、
(中略)めったに見られぬものだとは思わないか?」という台詞にも、
小説第3巻の「レンゲ、よき神将となったな……」にも、
インドラ様の「父親のあたたかさ」が溢れていて、じんとさせられます。
神将になることを夢見た少年たちは、個人差はあるようですが、
たったの8歳くらいから天空殿に集まってくるんですよね。
彼らにとっては、まさにヴィシュヌ様が「母」であり、
インドラ様が「父」だったんじゃないかなぁ。
神将と、候補生と、文官や女官たちも含めて、天空殿をひとつの「家」として。
八部衆をはじめ、そこで修行する者たちには、辛い思い出もあっただろうけれど、
そこにはとても穏やかな空気が流れていたように思います。
そして、その頃のインドラ様の胸の内を思うと……(涙)。

さて、小説版のインドラ様は、最期にレンゲに
「デーヴァ神軍の神将として……一人の女として生きよ……」
とつぶやいてその一生を終えます。
その言葉を胸に、レンゲはどう生きるのでしょうか?
「心を閉ざして現実を拒否する」という選択をしてしまった彼女だけれど、
ちゃんと元気になったところを見届けるまで、
インドラ様も成仏(転生?)できませんよ、あかほりさん!
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