人物考察:龍王アナンタ

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最古参のリーダー格

  • よみがな:りゅうおうーー
  • 所属  :八部衆
  • 神甲冑 :龍
  • 武器  :槍
  • 触媒  :炎
  • 必殺技 :龍王火炎戟etc.

1万年前の「大戦」の末期に、
獣牙三人衆の封印やシヴァ宮への突入に携わった八部衆のことを、
当サイトでは「先代八部衆」と称しています。
また、そのメンバーは以下の8人です。
龍王アナンタ|修羅王シュナ|夜叉王ラーマ|天王スーラ|
迦楼羅王カーマ|那羅王シーター|比婆王ジャフヌ|闥婆王マカラ
ちなみに、アナンタは小説第4巻序章、
その他7人については、第5巻第2章にて初めてその名が明らかになりました。

アニメ版しか知らなかった頃は、彼らのことを
「わかりやすい勧善懲悪の世界に生きていた、平和な戦士たち」と思っていました。
仲間同士で、しかも目的は同じ「ヴィシュヌ様をお救いする」なのに
哀しい戦いをしていたシュラトたちに比べたら、
8人そろって力を合わせていられたのだから、戦いは辛くとも頑張れただろう、って。

また、去来霊視光では、
そのうちの何名もがアカラナータに倒されていく姿が映し出されていたし、
当時のアニメ誌やムック等でも
彼らに関する「修行不足」とのコメントがちらほら見受けられます。
その影響もあって、大したことのない人たちだったんだ、という印象も抱いていました。

でも、小説版では、天空界にはもともとデーヴァもアスラもなかったことや、
「大戦」が単純な善vs悪の争いではなかったことが明らかになっているんですよね。
彼らの果たした使命の意味や重みもまるで違います。
それを読んでから、彼らに対する見方は大きく変わりました。
自分たちよりも上位に属する十二羅帝や八大明王の面々から
アスラに寝返っていく者が出るのは、どんな気持ちだったんだろう。
きっと、大勢いる一般神将のなかからも、
黒のソーマに魅入られてしまう者が後を絶たなかったと思うし……。

この人たちも大変だったんだよね。
戦乱のさなかに生まれて(?)辛い戦いをしてきて、それでも最後まであきらめず、
ついには天空界の平和を取り戻した、すごい人たちなんだよね。
「平和な戦士たち」なんて思ってしまって、ごめんなさい。

さて、龍王アナンタは、そんな彼らの最古参にしてリーダー格でした。
まず、この名前。そこに込められた意味を知った時は
しばし感動してしまいました(あかほりさんナイスです!)。
また、その他7人の名前もインド神話における有名人からとられているようですね。
裏設定的な意味はなく、単に名前を拝借しただけなのだろうと思うのですが、
調べてみてちょっと得した気分になりました。
「先代八部衆 +:インド神話豆知識」参照)

そしてさらに、「先の龍王が戦死して以来、すでに1千年以上を戦い続けてきた」
(第4巻序章)とあるのですが、い、いっせんねんって……(絶句)。
例えば、インドラ様がデーヴァ神軍の再建に尽くした「1万年」という期間は、
運が良くてもせいぜい100年程度で寿命が尽きるであろう自分にとっては途方もなくて、
いまいち感覚がつかめません。
でも、アナンタのその「1千年」というのは
辛うじて想像の及ぶ範囲にある(ような気がする)ので、
かえって身に迫るというか、実感がわくというか……。
そんなにも長い間、精鋭部隊の一員として戦い続けたというのは、
もうそれだけで、彼の強さを物語るのに十分だと思います。

アニメ版にちらりと登場し、そのお顔を見た時は、
年の割に落ち着いた感じのリョウマとついつい比べてしまったせいもあって、
(作画にばらつきはあるものの)「若いなぁ」という印象が強く残りました。
でも、小説版で明らかになったその戦歴の長さから、
外見年齢は30歳前後ではないかと勝手に想像しています。
設定資料に載っているのも、実際にアニメで見たものよりはもう少し大人びたお顔ですし。

そんな彼の最大の特徴は、「いるだけで人を安心させる不思議な魅力」(第4巻序章)。
他にも「沈着冷静、普段は微笑みを絶やさず」(第5巻第2章)云々といった記述があります。
ほんとうの強さというのは、この人のようなことをいうんじゃないかなぁ。
目に見える力だけを求め、それに溺れてしまったアカラナータとは
ちょうど対極にあるキャラですよね。
でも、対極にあるからこそ、もしかしたら良き友となり得たかも知れないのに、
あんな展開になってしまって……。

獣牙三人衆が反逆した時、デーヴァ神軍の誰もが絶望に突き落とされたのだろうけれど、
アカラナータの内心の不安に気付いていたアナンタは、
絶望というよりはむしろ
「苦しんでいる仲間を支えてやれなかった」という悔恨の念が強かったのではないかなぁ。
友と呼べるほど親交が深かったとは言い難いとしても、
仲間という意識はあったと思うのですよ、アナンタにとっては。
だから、できることなら三人衆を「封印」するのではなく、
黒のソーマから「解放」してやりたかったのではないかな。
第6巻でも、リョウマに「アカラナータを救ってくれ」って言っているくらいだし。
(「倒してくれ」じゃないんだよね)
天空界を守るという使命に加えて、
アカラナータを救いたいという気持ちもあったからこそ、
その戦いに命がけで挑んだのだと思っています。
でも、アナンタの「自分ごとアカラナータを封じてくれ」なんて要請を
受け入れざるを得なかったヴィシュヌ様たちも、辛かっただろうな……。
そして、残された7人の八部衆も……。
彼らのみならずデーヴァ神軍は、彼の死によって、
戦力的な損失以上に、精神的にはかり知れない打撃を被ったのではないかなぁ。

壮絶な最期を遂げたアナンタですが、その死に顔の微笑みには、
封印に成功したという満足感の他にも理由があったのではないかな。
私が思うに、それは「仲間に対する信頼感」。
自分が死んでも、八部衆をはじめとする仲間たちが、
いつかきっと天空界に平和をよみがえらせてくれると信じていたからこそ生じた
安堵の微笑みだったのではないかなぁ。
そして私は、そういった「仲間を信じる」という心こそが、
彼の強さの源だったのだろうと思っています。

ところで、私が全ての中でいちばん好きな必殺技は
八部衆全員で行う「天空曼陀羅陣」なのだけれど、
これってもしかしたらものすごく使用頻度の低い技だったのかも知れません。
「著しく光流(ソーマ)と体力を消耗する」
(第5巻「天空界用語解説」より)というリスクの大きさ以前に、
8人全員がそろって戦っていたケースって、「大戦」時の他の代々の八部衆も含めて
とてもまれだったのではないか、という考えに至ったので。
天空人の寿命や転生のシステムが具体的にはまだ明らかになっていないため、
ただ漠然と思い描いているだけなのですが、
1~2人の欠員状態はどの部隊でもしばしば発生していたんじゃないかなぁ。
この先代メンバーも、アナンタの死後、
新たな龍王が加わることなく(=転生者の十分な成長が間に合わないまま)
最終決戦まで戦い続けた……、何の根拠もないけれど、私はそう思っています。何となく。
それに、曼陀羅陣のような合体技は、
参加する者たち全員の呼吸がぴったり合わなくてはならないんですよね?
(小説第3巻第3章より)
頭数だけそろえても、実戦で使えるようになるまでは、
やっぱりある程度の時間や経験が必要だったのではないかなぁ。
アナンタたちの曼陀羅陣が成功したのも、彼らの歴史があってこそだったのだと思います。

先代八部衆をメインにした「大戦」時のお話を、
番外編か何かで書いてもらえたりはしないのかな。
他の7人についても大変興味がありますし。
獣牙三人衆の反乱の前後も含めて、別シリーズとして出してもらいたいくらい、
先代はお気に入りなのです。
もちろん、まずは本編の再開と完結が待たれるのですけれど。ね、あかほりさん。

(初出:2003.10/27)

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